日本人は鉄分が不足していると良く言われており、特に月経のある女性なら5人に1人の割合で貧血と言われています。
鉄分を意識して摂ろうと考えた時、日頃からお茶を良く飲む人なら鉄分が多いお茶があるのか気になりますよね。
今回は、お茶に含まれる鉄分はお茶の種類で違いがあるのか・お茶で鉄分を効率よく摂取するための飲み合わせなどを紹介します。
目次
お茶の種類ごとの鉄分量を比較!
お茶には緑茶だけでなく、紅茶やウーロン茶など身近な飲み物として様々な種類があります。
お茶の種類ごとに含まれる成分には違いがある訳ですが、今回は鉄分に注目してどんなお茶が最も鉄分を多く含むのかを紹介します。
鉄分の含有量が最も多いお茶は「抹茶」
結論から言えば、お茶の種類ごとに鉄分の含有量を比較すると最も数値が高いお茶は「抹茶」になります。
下の表に、主要なお茶と鉄分の含有量をまとめてみました
お茶の種類 | 100g中に含まれる鉄分量(単位:mg) |
抹茶 | 17.0 |
玉露※1 | 0.2 |
煎茶※2(一般的な緑茶の事) | 0.2 |
番茶※3 | 0.2 |
ほうじ茶※3 | 微量 |
玄米茶※3 | 微量 |
ウーロン茶※3 | 微量 |
紅茶※4 | 0 |
※1の玉露は茶葉10gを60℃のお湯60mlで2分30秒おいてから淹れた場合の数値
※2の煎茶は茶葉10gを90℃のお湯430mlで1分おいてから淹れた場合の数値
※3の番茶・ほうじ茶・玄米茶・ウーロン茶は茶葉15gを90℃のお湯650mlで30秒おいてから淹れた場合の数値
※4の紅茶は茶葉5gを100℃のお湯360mlで1分30秒~4分おいてから淹れた場合の数値
尚、表の数値は厚生労働省の食品データベースを基に記載しています。
表を見ても判るように、鉄分を最も含むお茶は抹茶という結果になりました。
参照:https://www.kiyosen.com/SHOP/1000201.html
抹茶とは、碾茶(中国茶の甜茶とは別物)というお茶を石臼で挽いて粉末状にした物なので、茶葉そのものに含まれる鉄分が失われないため、他のお茶に比べて大きな数値の差として表れています。
ただし、抹茶に含まれる鉄分17.0mgという数値はあくまでも抹茶100gを摂取した場合の数値。
一般的に、抹茶を立てて飲む場合なら使用量は茶杓2杯分で約1.5gしか使用しません。
抹茶1.5gに含まれる鉄分量は単純計算で0.255mgとなるので、実際に飲む場合は他のお茶より少し鉄分が多い程度に留まります。(それでも鉄分含有量はお茶類で最も多い)
単純に鉄分の含有量だけで見た場合は、抹茶が最も多いという結果になりましたが、お茶に含まれるカテキン(タンニン)が鉄分の吸収を阻害するという話を見聞きした人も多いのではないでしょうか。
続いては、各お茶のカテキン含有量と鉄分吸収の関係性について紹介します。
お茶は鉄分の吸収を阻害するのか
お茶に含まれるカテキン(タンニン)は、抗菌作用や抗酸化作用など体に良い成分として有名ですが、金属と結合しやすい性質が鉄分の吸収を阻害するとも言われています。
お茶の種類とタンニン含有量の比較
鉄分と同じように、タンニンを含む量もお茶の種類によって差異が生じます。
お茶の種類 | 100gでのタンニン含有量(単位:mg) |
抹茶(2gを60mlのお湯で立てた) | 200 |
玉露※1 | 230 |
煎茶※2(一般的な緑茶の事) | 70 |
番茶※3 | 30 |
ほうじ茶※3 | 40 |
玄米茶※3 | 10 |
ウーロン茶※3 | 30 |
紅茶※4 | 100 |
※1の玉露は茶葉10gを60℃のお湯60mlで2分30秒おいてから淹れた場合の数値
※2の煎茶は茶葉10gを90℃のお湯430mlで1分おいてから淹れた場合の数値
※3の番茶・ほうじ茶・玄米茶・ウーロン茶は茶葉15gを90℃のお湯650mlで30秒おいてから淹れた場合の数値
※4の紅茶は茶葉5gを100℃のお湯360mlで1分30秒~4分おいてから淹れた場合の数値
このように玉露や抹茶にはタンニンが多く含まれる一方で、ウーロン茶や玄米茶・番茶などはタンニンが少ないことが判ります。
タンニンは本当に鉄分の吸収を阻害するのか
お茶に含まれるタンニン(カテキン)が、金属と結合し易い性質を持っていることは確かですが、栄養成分としての鉄分吸収との因果関係については、その影響が少ないという研究結果があります。
関西大学の食品工学研究室の論文に記載されていることを簡単にまとめると
- お茶によって鉄の栄養状態を低下させる明確な証拠はない
- 食後1時間経過後や食間の飲用なら鉄分吸収のリスクは低い
- 茶系飲料が鉄栄養に直接的に影響する可能性はきわめて低い
上記のように、お茶に含まれるタンニンによる鉄分吸収の阻害については、さほど神経質にならなくても良いことが判っています。
どうしても、鉄分の吸収を阻害する可能性が気になる!という方は、食事中に飲むお茶をウーロン茶や玄米茶などタンニンの含有量が少ないお茶に替えて、食間や食後1時間を過ぎてから好きなお茶を楽しむようにしましょう。
お茶による鉄分の吸収率を高めるには
お茶に含まれる鉄分は微量なので、鉄分を摂取する目的で飲むのは現実的とは言えませんが、鉄分不足が気になる方なら少しでも鉄分を効率よく摂取したいものです。
そこで、お茶を飲むときに鉄分の吸収率を高める効果のある飲み合わせや工夫をいくつか紹介します。
鉄分の吸収を助ける食べ物と共にお茶を楽しむ
まずは飲み合わせとして、鉄分の吸収率を高める効果のある食べ物を紹介します。
鉄分の吸収を促す要素には
- 動物性たんぱく質
- ビタミンC
- 果実酸(クエン酸やリンゴ酸など)
このような物があるので、上記を豊富に含む食品と一緒にお茶を飲むことで鉄分の吸収率を高める効果が期待できます。
動物性たんぱく質
良質なたんぱく質は、鉄分と結合する事で身体に鉄分を吸収しやすくする効果が期待できます。
ビタミンC
鉄分には吸収しやすいヘム鉄と非ヘム鉄があり、お茶に含まれる鉄分は吸収しにくい非ヘム鉄です。
非ヘム鉄は吸収の過程で身体に取り入れ易い二価鉄に変化しないと、体内に吸収されずにそのまま体外へと排出されてしまいます。
ビタミンCには、三価鉄を二価鉄へと変化させる作用があるのでお茶に含まれる鉄分の吸収率を高める効果があります。
果実酸
クエン酸やリンゴ酸などの果実酸にはキレート作用という働きがあります。
キレート作用とは、ミネラルを身体に吸収しやすくする作用で、鉄分の吸収を助けてくれます。
肉料理や魚料理をおかずにしたり、食後にミカンやリンゴなどのフルーツを意識して摂取すると、お茶に含まれる鉄分や食事中に摂取した鉄分が効率よく身体に吸収されます。
お茶の鉄分量を増やす方法
お茶に含まれる鉄分量は非常に微量なので、お茶だけで日頃の鉄分不足を補うのは難しいかもしれません。
しかし、お茶の飲み方を少し工夫するだけで日頃楽しんでいるお茶が鉄分不足解消に効果的な飲み物になります。
その方法とは、お茶を淹れるお湯を南部鉄器で沸かしたお湯に変えるというものです。
参照:https://www.amazon.co.jp
何か特別なお茶の淹れ方をするとか、難しい作業は必要なく単純に南部鉄器で沸かしたお湯でお茶を淹れるだけで、お茶に含まれる鉄分の量が増える効果があります。
南部鉄器でお湯を沸かすと、鉄分が微量に溶け出すことでお湯自体が鉄分を微量に含むようになります。
この時南部鉄器から水に溶け出す鉄分は、前述した身体に吸収されやすい二価鉄なので、効率よく鉄分を補給する事ができます。
南部鉄器共同組合によると、お茶だけでなく調理にも南部鉄器を用いると料理に含まれる鉄分量が増えることもわかっています。
参照:https://kitchengoods-yanagiya.com/nanbutekki/characteristic/tetsubunhokyu.html
上のグラフでも判るように、南部鉄器から溶け出す鉄分量は火にかけている時間と比例する傾向にあります。
そのため、お茶を淹れる時に南部鉄器を使う場合なら、沸騰したらすぐ注ぐよりも少し長めに火にかけてから使うほうがより鉄分を多く摂れます。
南部鉄器を購入する時は、内側に「ホーロー加工」されていない物を選ぶようにしましょう。
南部鉄器風の見た目で、ホーロー加工が施されている場合は、錆びないというメリットはありますが、鉄分の補給には全く効果が無いので購入時は注意して選ぶようにして下さい。
鉄分の多いお茶ってあるの?飲み合わせや鉄分の吸収を高める・阻害するお茶は?:まとめ
鉄分を最も多く含むお茶の種類は「抹茶」ですが、1杯(抹茶2g)で0.3mg程度の鉄分なので鉄分不足を効果的に解消できるほどの量は望めません。
そのため、鉄分の吸収効率を高めるフルーツ類を意識して摂ったり、お茶を淹れる時に南部鉄器を用いるなど、鉄分を効果的に摂取できる工夫が大切です。
食事で摂った鉄分の吸収をカテキンが阻害する可能性については、さほど神経質になる必要はありませんが、どうしても気になる場合はウーロン茶や玄米茶のように、食事中はカテキン含有量が少ないお茶を飲めば安心です。
当記事が少しでも皆様の生活に役立てば幸いです♪
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