カルピスで黒人のキャラクターのマークはなぜ差別になったの?排除された不可解な理由

老若男女を問わず、世代も超えて愛され続けている乳酸菌飲料「カルピス」と言えば知らない人は居ないと言っても過言ではないでしょう。

それもそのはず、カルピスは今年で発売からなんと100年目!!

1世紀にも渡り日本人に飲まれ続けてきたカルピスだけに、「黒歴史」とも言えるキャラクター問題があった事をご存知でしょうか?

現在カルピスでは、水玉模様のロゴとタレントをイメージキャラクターに起用するスタイルとなっていますが、昔は少し怖い印象も受けるキャラクターを採用していました。

通称「黒人マーク」と呼ばれるカルピスで使用されていた商標マークについて色々と調べてみましたよ♪

今回はカルピスで使用されていた黒人マークの由来や、廃止された経緯について詳しく紹介していきます。

カルピスの黒人のキャラクターのマークは何故排除になったの?


参照:https://matome.naver.jp/odai/2148344621639136701

上記図が、カルピスが使用していた「黒人マーク」です。

確かに、現在の爽やかなイメージロゴを見慣れている私たちからするとかなりカルピスのイメージから遠いように感じてしまうキャラですよね。

参照:http://www.mh-logo.com/column/logo/20161107discrimination/

黒い体と分厚い唇の男性が、美味しそうにカルピスをストローで飲んでいるこのマークは1923年から1990年まで使用されていました。

意外にも1990年という近年まで使用されていたマークなので、記憶に残っているという方もいらっしゃるかもしれません。

この黒人マークが使用された経緯については後述するとして、どうして1990年に使用を中止する事になったのかを解説します。

黒人差別をなくす会の影

カルピスの黒人マークが使用中止へと追い込まれた原因は、「黒人差別をなくす会」という私設団体にあります。

1988年に有田利二・有田喜美子夫妻と息子の太(はじめ)君の家族3人で発足したのが「黒人差別をなくす会」です。

ワシントン・ポスト紙で掲載された黒人をモチーフにした日本製の人形について書かれた批判記事を夫妻が読んだ事がきっかけでした。

その後、有田夫妻は身近に売られている黒人キャラクターや、漫画などに描かれる黒人キャラクターなどの表現を調べては、抗議文を送りつけるという活動をするようになっていきます。

発足後、この団体の活動によって多くの企業や漫画家などが迷惑を被る事になります。

参照:https://www.ibaraki-law.net/houjin-soudan/monster_kramer/

カルピスの黒人マークも標的となり、当時12歳の有田太書記長がカルピスの黒人マークは【典型的差別】であると抗議文を提出します。

カルピスはこの指摘を受けて、1990年の1月から黒人マークを使用中止する事を決定しました。


カルピスの黒人マークは、私設団体のしかも12歳の少年に【典型的差別】だと糾弾されたことが原因で使用中止になってしまった事になります。

カルピスはどうして差別と捉えられてしまうような黒人マークを使い始めたのでしょうか?

次項で、カルピスがキャラクターに黒人マークを使用した経緯や意味について解説します。

カルピスのキャクターを黒人にした本当の意味は人を救うためだった

カルピスが黒人マークを使い始めたのは大正12年(1923年)からです。

その当時、第一次世界大戦の影響が色濃く残る欧州の絵描きたちは仕事も無く、生活に困る人が多くいました。

そこで、カルピスは外務省と提携して国際懸賞ポスター展を開催

世界中を対象として、カルピスの企業ポスターを懸賞金付きで広く応募することで、終戦後の影響に苦しむ画家たちを救おうという意図がありました。

この国際懸賞ポスター展で、3位を受賞したオットー・デュンケルスビューラーというドイツのデザイナーこそが、黒人マークを描いた作者です。

参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B3%B6%E6%B5%B7%E9%9B%B2

カルピス創業者である三島海雲(みしまかいうん)は、僧侶出身という事もあり、外務省と提携して開催した国際懸賞ポスター展を開いた理由も「戦争の影響で困っている画家を助けたい」という友愛の心からです。

作者であるオットーも、三島海雲も黒人マークに差別的な意味合いを込めるべくもなく、黒人マークが生まれた経緯は三島の「人助けをしたい」という思いによるものでした。

まさか、約70年後に12歳の少年によって使用中止に追い込まれるとは夢にも思わなかったでしょうね。

黒人差別をなくす会の犠牲になったキャラクター達は他にも・・・

黒人差別をなくす会の活動によって、修正や商品回収などの被害を被ったケースはカルピスばかりではありません。

最も有名な被害として童話の「ちびくろサンボ」が絶版に追いやられたという被害があります。

1988年、つまり黒人差別をなくす会を発足してすぐに児童用絵本の「ちびくろサンボ」に抗議をして絶版に追いやっています。

この、発足してすぐに成果を挙げてしまった事が同会の活動に拍車をかけてしまったのかもしれません。

さらに悪い事に、ちびくろサンボを絶版に追いやった事を聞きつけ、ワシントンポスト紙を介してアメリカの大統領候補やロス市長らと会見して活動を褒め称えられてもいます。

彼らの活動はエスカレートしていき、1990年にはカルピスの黒人マークを使用中止に。

参照:http://workstyle-t.jugem.jp/?eid=44

さらに同年、タカラトミー(当時はタカラ)が使用していたダッコちゃんマークにも抗議、これを使用中止に追い込んでいます。

その後、黒人差別をなくす会のターゲットは、漫画の世界へと移り彼らは黒人と思われる人物が登場する作品を探しては抗議を送りつけるようになっていきます。

回収や修正に追い込まれた漫画作品は

  • ジャングル大帝
  • オバケのQ太郎
  • Dr.スランプ
  • こちら亀有区亀有公園前派出所
  • ついでにとんちんかん
  • etc

と数多く、顔が黒く唇が厚いキャラクターを書けないという風潮を業界に引き起こす事となりました。

黒人差別をなくす会は、今どうなっているのか?

様々な企業や漫画家へ多大なる被害をもたらした「黒人差別をなくす会」ですが、現在(令和元年5月時点)における表立った活動は確認できなくなっています。

1990年代に猛威を振るった黒人差別をなくす会ですが、平成14年に「ドリトル先生」内の表現に抗議をした活動を最後に、目立った報告を知る事が出来なくなっています。

活動を知る事が出来ない一番の原因は、ホームページやブログなどを持たず、マスコミも「黒人差別をなくす会」について取り上げる事が無くなったためです。

一時は数百人規模の私設団体にまで成長し、猛威をふるった同会ですが活動の露出が激減した事からも、規模や活動が縮小した事は明白です。

カルピスで黒人のキャラクターのマークまとめ!

冒頭でも触れたように、現在カルピスはイメージキャラクターにタレントを起用するなどして、爽やかな印象となっています。

黒人マークの撤廃は、黒人差別をなくす会の抗議によるものでしたが経緯はどうあれ、爽やかな企業イメージになっている事を考えれば大きな被害も受けず良かったという所でしょうか。

黒人マークの撤廃が無かったら、令和となった現在も使い続けていたのか気になるところですが・・。

マークは変われども、カルピスが美味しい事には変わりありません。

これから暑くなると、カルピスを飲む機会も増えますが、ふと黒人マークを思い出してみるのも良いかもしれませんね♪

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