秋に行う風習の一つに、十五夜のお月見があります。
現代の日本では、お月見をする家庭も減ってきましたが、十五夜を子供や家族と一緒に楽しみたい!という方も居ると思います。
せっかく十五夜の月見をするなら、お供え物を準備して正しい飾り方で楽しんでみたいものですよね。
そこで今回は、十五夜の由来から供え物が持つ意味、さらに正しいお供え物の飾り方まで、十五夜にまつわる様々な情報をお届けします。
目次
十五夜のお供え:飾り方と意味
それでは、早速ですが十五夜にお供え物を準備する際の飾り付けと、お供えの意味について解説していきましょう。
団子(サトイモ)の飾り方と意味
十五夜のお供え物と言えば、月見団子ですよね。
参照:https://nico-bar.net/event/otukimi.php
十五夜に月見団子を飾る意味については諸説ありますが、満月に見立てた丸い団子を供えているという説や、豊作を願い丸く剥いたサトイモを供えていた風習が変化したのではないか?などと言われています。
地域によっては、団子の代わりにサツマイモや栗を供える場合などもあります。
五穀豊穣を願って供え物をしていた事から、神への捧げものを置く「三方(さんぽう)」に置くのが正しい飾り方と言われています。
参照:アマゾン
また、十五夜に備える「団子の数」は15個が正式と言われています。
三方の上に半紙を置き、その上に15個の団子をピラミッド状に乗せて飾るのが正しい飾り方です。
15個の団子をピラミッド状にする方法を図解してみました。
1段目は9個を並べて作ります。画像は「上から団子を見た」状態です。
続いて4個の団子を置いて2段目を作ります。
最後に、正面から見ると1個に見えるように並べて2個を最上段に。
もちろん、このように飾らなければダメ!というものではありませんので、あくまでも参考程度に考えてください。
三方が無ければ、お皿に半紙を敷くだけでも良いですし、最上段が2個だと気持ち悪い!という場合は、自分なりに形を整えても良いでしょう。
すすきの飾り方と意味
お月見の飾りで団子と並んで代表的なものが「すすき」です。
参照:https://www.sapporobeer.jp/wine/wine_opener/article/wine_moon_viewing/
団子が「月」に見立てたと言われるように、すすきも「稲穂」に見立てて飾ったと言われています。
五穀豊穣を祈って供えるなら「稲穂」でいいじゃないか!と思いますが昔の農民が作る「米」は、貴族や武士に献上しても自分たちが食べる事は中々できませんでした。
そこで、稲穂のようにこうべを垂れるすすきを、稲穂代わりに供えたのが始まりと考えられています。
他にも、すすきの茎は空洞になっていて「神様が宿る」と信じられていたり、切り口が鋭い事から「魔除け」になるなど、すすきを飾る意味にも諸説あるようです。
参照:http://www.nihonminkaen.jp/archives/3765/
すすきを飾る時の入れ物には、特に決まりが無く「倒れない入れ物」なら何でも良いとされます。
本数についても、厳密な決まりはありませんが「奇数」が良いと言われています。
これは、陰陽道の考え方で奇数が「陽の数字」で偶数が「陰の数字」とされる事から由来していて、現代でもこの概念は結婚式で包む金額など様々なシーンで見られる風習ですね。
その他のお供え物
お月見のお供え物は、「団子」と「すすき」だけでも問題ありませんが、地域によっては他にも様々なお供え物を準備する事があります。
実りの秋に迎えるお月見は、収穫の喜びと感謝を神へ伝えるという考え方もあるため、季節の野菜や果物を供える風習などもあるようです。
参照:https://blogs.yahoo.co.jp/kitakataoguni/5883377.html
また、地方によってはすすき以外の「秋の七草」を供える風習がある事も。
参照:https://mainichigahakken.net/hobby/article/post-711.php
団子や他のお供え物を乗せた皿に、桔梗や萩の花をそっと飾るのも風流で良いかもしれませんね♪
お月見(十五夜)の由来と意味
ここからは、秋の行事というイメージのある、お月見(十五夜)の由来と本来の意味合いについて解説していきます。
十五夜=満月
お月見と聞くと「十五夜」が同じ意味と思っている人がいますが、実は十五夜とは満月を意味する言葉です。
参照:https://www.nomu.com/ouchi/special/201309/03.html
月の満ち欠けを月齢と呼び、月齢15日が綺麗な正円を描く満月となる事から「十五夜」と呼ばれています。
つまり、十五夜とは満月が見える夜の事なので、年に12回(うるう年は13回)訪れている事になります。
ほぼ毎月のように訪れている十五夜ですが、飾り付けをして月見を楽しむのは「中秋の名月」、つまり秋だけとなっています。
中秋の名月とは
昔の暦(明治6年以前)は、太陽太陰暦で暦が作られていました。
そのため、現行の太陽暦で作られた暦とはズレが生じるのですが、中秋の名月は旧暦に関連した言葉が由来となっています。
旧暦7月が初秋、8月が仲秋、9月が晩秋で昔の秋とは7~9月の3ヶ月を指す言葉でした。
秋の真ん中にあたる8月を「仲秋」、さらにその8月の真ん中にあたる8月15日を「中秋」と呼び、旧暦8月15日の夜に見える月を「中秋の名月」と呼ぶのです。
そのため、実際の満月(十五夜)と中秋の名月にはズレが生じる年も多く、今年(2019年)で言えば「中秋の名月は9月13日」で、「満月(十五夜)は9月14日」となっています。
中秋の名月本来の日付を大切にしても、満月である事を重視してもOKなので、2日連続で月の輝きを楽しむのも良いかもしれません。
それでは、秋に月を楽しむ様になった由来についても簡単に解説していきましょう。
お月見(十五夜)の由来
お月見が行われるようになった明確な時期は判明していませんが、唐の時代(7世紀~8世紀ごろ)に始まった風習という説が有力となっています。
9世紀ごろ、日本の貴族社会が唐の風習を真似て月見を楽しむ様になり、平安時代ごろが最も隆盛を極めたと考えられています。
参照:https://global-news-diary.net/1733.html
この当時のお月見とは、いわば「貴族の風流な遊び」の一つ。
典雅で風流を愛した平安貴族たちが、中秋の名月を愛でながら雅楽や歌詠みを楽しんだと言われています。
つまり、元々は「遊び」がお月見のルーツ。五穀豊穣を祈るイメージが強いお月見ですが、平安貴族たちはもっとラフな意味合いで月見を楽しんでいたのです。
この文化は、時代の流れと共に少しずつ衰退していくと共に、庶民の文化へと変わっていったと考えられています。
室町後期ごろに、庶民(農民)が豊作を願い月を拝み、この頃から「お供え物」が登場します。
江戸後期になると、全国の農民にもこの風習が広がり、現在私たちが知る形のお月見になったと言われています。
参照:https://edo-g.com/blog/2016/09/otsukimi.html
現代のお月見文化
ただ綺麗な月を楽しむ「遊び」という文化と、五穀豊穣を祈ったり収穫に感謝する「儀式」という文化という、二つの意味合いを持つお月見。
現代もその風習や文化は残っていますが、明治以降の近代日本では月見を楽しむ家庭はどんどん減り続けています。
参照:https://www.asahi.com/articles/photo/AS20160914003795.html
デジタル社会となり、日々の忙しさに追われる現代日本は「ストレス社会」とも呼ばれています。
日本古来より続く、「月見」という文化を改めて見直して、自然の美しさを家族で楽しむ時間を過ごす事も、日々のストレスをやわらげる事に繋がるのかもしれませんね。
十五夜のお供えの飾り方!お月見団子やススキの意味や飾り付け、いつからどのように?:まとめ
1000年以上前から、日本人が楽しんできた十五夜。
時代によって、十五夜が持つ意味や楽しみ方は違いますが、今年の十五夜は家族で夜空に浮かぶ満月を楽しんでみてはいかがでしょうか。
十五夜のお供えを飾る方法を紹介しましたが、文中でも述べたように「絶対こうしなければならない」というルールはありません。
風習やならわしを大事にして、正式な飾り方でお供え物を準備して、昔の人たちの気持ちを味わうのも風流ですし、スーパーでお団子を買ってきて飾るのも良いでしょう。
今年(2019年)の中秋の名月は9月13日、満月は9月14日となっていますので、お供え物と共に月を愛でる夜を過ごしましょう♪
当記事が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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